研究について

当科で主に行っている研究内容の一部をご紹介します。

 

 

 

歯と放射線被ばくに関する研究

歯には放射性物質や炭酸ラジカルを保持できるという独特の特徴があり、内外の放射線被ばくの評価に役立ちます。
これらの特性を利用して歯を一種の生体線量計として捉え、ヒトや動物の歯を用いて、個体の被ばく評価に関する検討を行っています。また現在では、イメージングプレートの使用や炭酸ラジカルの測定方法の改善を通じて、福島第一原子力発電所事故の影響を歯から明らかにする取り組みや、外部被ばくと内部被ばくを同時に定量化するための取り組みも行っています。

 

超音波顕微鏡を用いた歯科診断に関する研究

歯科診療において診断を行う際、触診やX線診断が一般的ですが手指感覚や色の濃淡で評価するため、術者の主観が影響してしまいます。そのため、数値化のような客観的評価による診断方法の登場が望まれます。
超音波顕微鏡は医科領域で、軟部組織を非侵襲下で客観的な診断を迅速に行うことができます。しかし、歯科のように非常に硬い硬組織に対しては実用されていません。そこで、ヒトの抜去歯や臨床で用いられる歯科材料の音響データを収集・解析することで超音波顕微鏡の仕組みを用いた診断装置の具現化を目指しています。

 

 

 

障害者の高齢化プロセスと相関した口腔ケアを管理するための支援体制を確立に関する研究

口腔機能の維持は、健康な人の寿命を延ばすための重要な要素の1つとして挙げられており、それを維持するためには定期的な口腔ケアが最も重要であることが広く認識されています。これまでの研究により、障害者は高齢になるにつれて定期的な歯科検診を受けることが困難になること、口腔機能の低下は健常者と比較して早く起こること、介護者が患者の口腔の健康に関心を持つことが重要であることがわかりました。これを踏まえ、介護者の確保と患者の口腔衛生への関心に関する現状に焦点を当て、障害者の口腔機能の維持に重要な役割を果たす定期的な歯科検診の継続に必要な関連要因を特定し、歯科検診における口腔ケアの専門知識を持つ介護者の採用と支援に関する制度の確立を目指しています。